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岡本太郎といえば「芸術は爆発だ!」ですが、実はフィールドワークをメインに活動する民俗学者としての顔も持っていました。
そのことについては前々から知っていたのですが、この本を読むとその情熱が伝わってきます。
この本は岡本太郎が日本各地の辺境や修験の地を足繁く巡り、その奥底に眠る心神秘性を掘り起こした記録をまとめたものです。
パリに留学し「世界人である」生き方を模索した岡本太郎が辿りついた結論は、「自分は明らかに日本人であった」ということでした。フランスでの経験から自分の原点である「日本」という存在の根底を突きつめなければならないという衝動に駆られたと言います。
彼はパリ大学にわざわざ籍を置いて、著明なフランス人文化人類学者マルセル・モースの民族学講座を受講するほど、本格的に民族学を学ぼうともしたようです。
民族が持っている「固有の暗号」は生活的に形になったり色となって表現される。そういう目に見えないけれども民族の中に確実に根付いている文化や芸術を理解したいという一心で、フィールドワークを精力的に行っていたのだそう。
この本の中で彼が向かったのは、京都や奈良の洗練された洗練美の世界ではなく、イタコ文化の根付く恐山やオシラサマを祀る青森、熊野の信仰や出羽三山の修験道といった、「生々しく荒々しい生命のエネルギー」が庶民の生活や自然の中に息づき足元に広がる神秘の地でした。
特に印象的だったのは、高野山を訪れ多くの「芸術品」となった仏像や絵画を見せてもらったときの幻滅した岡本太郎の姿です。
名作を見せられれば見せられるほど、空しくなってくる。奥深く秘められていた神聖な尊厳という秘密の力が失われ美術品となってしまった仏像や絵画の数々には、「神秘性」も「永遠の姿」もない。
そんな中で出会った「マンダラ」に表された宇宙の再現性や仏教の決定的な世界観の中に「絶対生命」を見出していきます。
・・・という、とにかく最初から最後まで岡本太郎の情熱と哲学を堪能できる1冊でした。
紙の本では再版されておらず(今で言ういわゆる差別用語等が多いから?)、電子書籍のみなのが残念。文庫で持っておきたい1冊なのに。
今はこれまた岡本太郎の「日本の伝統」という本もちびちびと読んでいます。電子書籍ではもう1冊、「日本芸術風土記再発見」という本も持っているので、一気に読んでいきたいです。





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